ビザ(査証)と在留資格の違い
『ビザ(査証)』のことを調べていると『在留資格』という言葉も同時によく出てきます。
海外に行ったり滞在したりする際に取得するものということはわかります。
ただはっきりとした違いとなると説明が難しいかも知れません。
特に、正式な使い方と、一般的な文章や会話で使われる意味がずれていると紛らわしく感じます。
・今度、大学を卒業して就職するので「留学ビザ」から「就労ビザ」に変更する必要がある
・今度、日本人と結婚するので「結婚ビザ」を取得する
・期限が近づいているのでビザの更新をする必要がある
といった使い方をしますが、
「就労ビザ」や「結婚ビザ」は正式には存在しない通称です。
また、ビザ(査証)は期限が近づいたから更新するものでもありません。
ただ、その方が伝わりやすいから使われているわけです。
言葉ですから伝わることは確かに重要なポイントです。
そうであっても、外国人本人や、外国人雇用先の担当者の方は違いを意識しておくのが良いのではと思います。
ということで今回は『ビザ(査証)』と『在留資格』の違いについて解説してみます。
ビザ(査証)とは
ビザ(査証)はある種の「推薦状」です。
これから日本で働いたり学んだりする人とって必要なものです。
出発する前のタイミングで、外国人自身で在外公館(大使館・領事館)に申請して取得します。
このビザ取得の目的は以下の2つの事柄の確認が済んでいると証明するためになります。
・パスポートが有効なものであること
・日本で行う活動に関して支障がない人物であること
問題ない人物であれば、その証としてパスポートにビザ(査証)が貼り付けられます。
この発給されたビザは入国のタイミングで1回使われて役目を終えます。
推薦された人物を上陸させて受け入れたのですから役目は果たしたわけです。
このように入国手続きの際に使用するか、もしくは使わなければ有効期間を過ぎて失効します。
有効期間は3ヶ月で延長ができないので、必要なら再度同じ取得手続きをします。
必然的に、一旦発給されたら3ヶ月以内に日本に入国する必要がでてきます。
査証免除協定について
今まで海外に行ったときにビザ(査証)を取得した記憶がない方は疑問に思うかもしれません。
入国の際にビザ(査証)は必ず必要なものですが、「査証免除協定」が締結されている国についてはビザ(査証)の取得が免除されているため、パスポートのみで入国することができます。
https://vamonos-law-office.com/短期滞在ビザ/
ただし、これはあくまでも短期間の滞在について適用されるものです。
これから日本に3ヶ月以上滞在する場合はビザ(査証)の取得が原則必要になります。
在留資格認定証明書
ところで、日本の大使館や領事館では何を基準に特定の人物を審査するのでしょうか?
申請者が支障がない人物か、日本での活動する資格があるか判断する基準が必要です。
29種類ある在留資格のうち、希望する在留資格の要件に該当しているかを見極めなければなりません。
そのためにあるのが日本の出入国管理局で取得する在留資格認定証明書です。
取得の仕方はホームページ内の在留資格認定証明書で解説しています。
ここで押さえてほしいのはビザ取得には在留資格認定証明書が必要になる点です。
ちなみにビザ(査証)が取得できても入国する権利が生じるわけではありません。
「推薦状」はあくまでも推薦です。つまり断られることも有りうるということです。
例えば、荷物チェックの際に禁止薬物を携行していたら拒否せざるを得なくなります。
ビザ取得後に新たな逮捕歴が加わっていればそれも含めて判断されます。
在留資格とは
外国人が日本で可能な活動は在留資格制度によって規定されています。
言い換えると、資格で許可された範囲内で活動ができるということです。
それぞれの資格ごとに可能な活動内容や活動期間が決まります。
結果一人の人物に対して一つの在留資格が与えられます。
この在留カードが与えられるのは空港で入国審査を終えた後です。
審査ではパスポートとビザ、そして在留資格認定証明書を提出します。
ここで問題がなければ「在留資格」が記載された「在留カード」を入手する流れです。
空港によってはその場で「在留カード」が発行されます。
また、空港で発行されない場合は後ほど登録住所まで郵送されます。
ここでひとつ、自分が入国審査官だったらと想像してみてください。
一人一人のチェックを正確にするのは大変ですよね。
すでにビザと在留資格認定証明書が用意されていれば審査すべき項目が少なくて済みます。
正確で効率の良い審査には必須な書類だとご理解いただけるはずです。
紛らわしい原因
ここで紛らわしさの原因になっている「在留カード」が出てきました。
一般的にビザと呼ばれているのがこの在留カード及びその記載内容を指す場合が多いはずです。
本来は在留資格「留学」が正しいけれども「留学ビザ」と言ったりします。
それが組み合わさって、在留資格「留学」から、卒業して「技術・人文知識・国際業務」に在留資格を変更することを、
「留学ビザ」から「就労ビザ」に変更するという言い方になります。
良し悪しは別にしてこの方が便利だから言葉として使われるのでしょう。
ただ、呼び方はどうであっても、違いがあることはしっかり認識しておいた方が良さそうです。