外国の方にとって戸籍制度はわかりにくい点が多いのではないかと思います。
今回は戸籍とはどのようなものかについて解説していきます。
戸籍とは何か?
戸籍は日本国民の身分関係を証明するものと言えます。
戸籍制度は、1872年までさかのぼるようなとても古い制度で、日本人にはとても重要なものでした。
この重要であった理由は、記載されている内容や使用する状況が相続などの身分や法律に関係していたためです。
簡単に言えばお金に関連してくることだからとも言えます。
このように重要であるが故、記録することや変更の仕方について戸籍法と呼ばれる法律で厳格に決められています。
外国人の帰化は日本人になることですから、帰化後はこの戸籍で自分の身分関係の記録が残るということになります。
本籍地と戸籍の関係
戸籍は戸籍簿という形で市区町村で保管されています。この戸籍がある場所のことを本籍地と言います。
ちなみに本籍地の登録は日本国内であればどこでも可能です。実際に住んでいないところでも自由に選ぶことができます。
中には思い出の場所を本籍地にする方もいるようですが、書類の取得に関して言えば不便になる可能性が高い点は注意が必要でしょう。
戸籍に書いてあること
戸籍には誰が親で、いつ生まれて、いつ結婚して、その後死亡したのかといったことが書いてあります。
戸籍を新しく作ることを戸籍の編製と言いますが、戸籍が編製される単位は1組の夫婦が基本になります。
つまり結婚をして家族ができると戸籍が一つ増えるということになります。
戸籍に最初に名前が書いてある人のことを戸籍の筆頭者と言い、苗字(氏)はこの筆頭者の氏を使うことになります。
この筆頭者は夫でも妻でもなることが可能です。
筆頭者が決まり、配偶者が記載され、それから子供が増えればその子供の情報が追加されていきます。
その子供が結婚すると別の戸籍が新しく編製されるという流れです。
戸籍の特徴として、例えば結婚相手がどこの戸籍から移ってきたのか書かれていますので過去にさかのぼることが可能な点です。
戸籍の編成のタイミングは結婚以外にもいくつかあります。
時に法律の改正があり、戸籍の記載事項や運用するシステム変更などがあると戸籍そのものを作り直す必要が出てきます。
そこで旧バージョンと新バージョンが混在する状態が生まれます。
現在の戸籍と区別して旧バージョンの戸籍のことを改製原戸籍として管理がなされます。
他には、例えば結婚して別の戸籍に移った後、離婚によって元の氏に戻す際に、戸籍に記載されていた全員が亡くなっていたら元の戸籍に戻ることが出来ません。
その場合は新しく自分の戸籍が編製されます。
そのほか考えられるのは戸籍そのものを今とは別の市町村に丸ごと移す必要がある場合です。
その際は、転籍をして新たに戸籍が編製されます。
戸籍の種類
3種類の戸籍の違いを知っていただきたいです。
⑴ 現在戸籍
筆頭者の本籍地にある現在使用されている戸籍です。本籍地のある市区町村で管理されています。
⑵ 除籍
戸籍に記載されていた人が、婚姻や死亡などによって全員いなくなった戸籍のことを除籍と言います。
このように、全員が居なくなってしまった戸籍をまとめたものが除籍簿になり、同じく市区町村により管理されています。
⑶ 改製原戸籍
戸籍の法律が変わると記載の様式が変わることがあります。この変わる前の戸籍(改製前の戸籍)のことを改製原戸籍と言います。
古いバージョンの戸籍と考えてください。
相続などで戸籍謄本(戸籍の写し)を取り寄せるときに、生まれてから亡くなるまで連続した記載が必要になることがあります。
現在戸籍と改製原戸籍の両方が必要になるのは、一方のみでは記載事項が足りないと相続人を確定できない場合があるためです。
戸籍謄本と戸籍抄本
・戸籍謄本
戸籍謄本は戸籍に記載されている全員の情報が書いてある書面のことです。
戸籍の電子化以降は全部事項証明書と言われています。
・戸籍抄本
戸籍抄本は戸籍の原本の一部の人の情報を抜粋したものの写しです。個人しか記載がないので、誰が相続人になるかを確定するには使えないものです。
こちらは個人事項証明書と言われています。
戸籍取得の仕方
2024年以降は本籍地以外の市区町村でも取得できるようになる予定のようですが、現在は本籍地がある市区町村役場に申し出る必要があります。
直接出向いて手続きする以外、郵送による取得が可能なことがあります。
それぞれ市区町村によって決まりが異なるため、まずは電話やホームページで事前に確認しておく方が良いでしょう。
多くの市区町村のホームページで戸籍の取得方法が記載されています。
また、自分の本籍地がわからない場合は、本籍地の記載がある住民票を取得することで確認が可能です。
住民票の取得時に本籍地の記載を希望する欄にチェックを入れて申請してください。