いつまでに決めなくてはならないのか?
帰化後の日本人としての名前は、帰化の受付までに決めなければなりません。
帰化の申請書類には帰化後の氏名を記入する欄があります。書類を提出するまでには
名前を決めておく必要があります。
帰化後の氏名はどのように決めるのか?好きに決めても良いか?
はい、好きに決めても良いです。帰化をすると戸籍が新しく作られ、以降は日本名を名乗ることになります。全く新しい名前を付けることもできますし、以前の自分の名前を使うことも、それまで使っていた通称名を使うことも可能です。
ただし、人名として使える文字の種類には以下のような制限があります。
・常用漢字表
・人名用漢字表
・カタカナ又はひらがな
法務省:子の名前に使える漢字
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji86.html
漢字圏出身の方は、繁字体や簡体字の使用は不可となりますので、常用漢字に引き直す必要があります。また、アルファベットや数字、記号などは使うことができません。
日本の名前は氏と名の組み合わせ
日本人の氏名は氏+名で構成されています。
・氏とは
「名字」「苗字」のことで、英語であれば「last name」 や「surname」に当たるものです。
日本人の名字の数は10万種類あると言われています。アメリカのように移民が多い国は
100万種類以上、対照的に中国や韓国では名字の種類は約280種類ほどのようです。
日本人の名字の起源は、元々は天皇家が配下の豪族に与えた「姓(かばね)」から始まり、武士や農民に拡がっていったようです。現在でも天皇家に名字がないのは与える側だったことの名残りなのかもしれません。
昔の日本には、自ら開拓した領地に名前をつける「名田(みょうでん)」の制度があったそうです。実際、日本人の名字の約8割は土地や自然に由来しています。
例えば、地形を表す「山」「川」「谷」「沢」「坂」を使った「山下」「小川」「大谷」「芹沢」などがあったり、田んぼにちなんでつけられた「高田」「田中」などが挙げられます。
それ以外には職業がベースになった「服部」(服を作る)や、藤原氏から一文字とった「加藤」や「佐藤」などがあります。
このように自分のルーツと繋がりがある名字です。これから帰化をしたとしても自分のアイデンティティを残したいのは当然の気持ちです。
使える文字に制約はありますが、基本的に自分で自由に決めて良いという認識でOKです。自分のそれまで使っていた名前に漢字を当てることもできますし、カタカナにすることも可能です。
このように自由である反面、今後長く使われる可能性もちょっとだけ考えた方が良いことも事実です。
一般的な傾向として、移民して世代が進めば進むほど社会に溶け込んでいくものでしょう。
しかし、現在のところ、日本の社会はアメリカのような多民族国家ではありません。
今後は徐々に変わるかもしれませんが、残念ながら全ての人がオープンマインドとは言えない状況です。
自分が親であれば、2世代目以降、生活するのに不利益は少ない方が良いはずです。ですから、今後長く使えて愛着の持てるものという視点は大切に思えます。
・名とは
氏名の「名」は名前のことで、英語では「first name」にあたります。日本人の名前も
以前まではかなり画一的な印象でしたが、最近はかなりバラエティに富んだ名前
をつけることが増えてきました。名前も名字と同様に、漢字やカナの制約を守れば自由につけることができます。
子供が生まれた際の日本人の名前の付け方として、子供の将来に対する願いと漢字の意味を合わせることが多いです。
アルファベットは組み合わせないと言葉として意味を成さないものですが、
一方で、漢字は一つの文字から意味をこめることができるのが特徴です。
漢字の形に加えて、文字そのものの持つ意味と、さらにそれを組み合わせた時どうなるかに着目して考えるとより素敵な名前になりそうです。
ちなみに、日本的視点では漢字よりもひらがなの名前の方が柔らかな印象を与えます。
同じ意味や音でも漢字にするかひらがなにするかでかなり印象が違ってきます。
また、響きや見た目で男性的か女性的かのような違いも存在します。
ミドルネーム
日本人の氏名は名字と名前で構成されておりミドルネームが元々存在していません。ですから、帰化後の戸籍にミドルネームを登録する場合には名字側に合わせてつけるか、名前側に合わせてつけなければなりません。
例えば、Samuel L.Jackson はSamuel Leroy Jacksonで、カタカナで表すとサミュエル・リロイ・ジャクソンです。
日本の戸籍にミドルネームを登録するには、サミュエルリロイ・ジャクソンというようにするか、サミュエル・リロイジャクソンのようにする必要があります。
一度決まった名前を後から変更できるの?
許可が下りた後に名前を変えることは制度上可能ではあります。
可能ではありますが、他の日本人同様簡単ではありません。
その名前を使うことで、社会生活に支障をきたしていることを家庭裁判所が認める必要があるからです。
この変更手続きは個人でもできますが、改めて専門家のアドバイスが必要になる可能性が高いでしょう。
同一戸籍内では同じ漢字を使えない
一つの戸籍の中に親と子供、兄弟姉妹などがいる場合は、同じ漢字を使った名前を付けることはできません。
例えば、「真(まこと)」と「真(しん)」のように読み方が違っても同じ漢字の名前にはできないということです。
反対に、読み方は同じでも漢字が違えばそれは登録可能になります。
例えば、「誠(まこと)」と「真琴(まこと)」の場合などです。
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