資格外活動許可について

なぜ資格外活動許可が必要なのか?

 

 在留資格制度では行うことができる活動が制限されています。

在留資格を持っているならば、それぞれ許可された範囲で活動をするのが基本です。

その中で、例外的に活動が制限されない在留資格が4つあります。

それは「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」です。

これら4つ以外は在留資格に定められた活動以外の活動はできないことになっています。

特に活動を希望し収入を得たい場合は申請が必要とされています。

今回解説するのはその資格外活動許可の制度になります。

 

資格外活動許可とは何か?

 

 自分の持っている在留資格以外の活動を行なって収入を得る際に必要になるものです。

資格外活動許可の種類は「包括許可」と「個別許可」の2つです。

 

許可を受けることができるか判断基準は2つあります。

第一に本来の活動を妨げないこと。

第二に相当性があることです

 

本来の活動を妨げない

本来の活動というのは、既に許可されている在留資格の活動を意味します。

これを妨げるかどうかの判断基準は、活動の内容と活動時間の長さです。

許可を受けた結果、本来の活動に支障が出てしまうのは本末転倒です。

 

 

 

資格外活動許可の要件(一般原則)

 

 資格外活動許可を取得するためには、下記の要件を満たす必要があります。

以下は出入国在留管理庁のHPからの一部抜粋です。

 

① 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。

② 現に有する在留資格に係る活動を行っていること。

③ 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く)に該当すること。別許可』を取得する際に関係してきます

 

④ 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。

 ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動

 イ 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動

⑤ 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと。

⑥ 素行が不良ではないこと。

⑦ 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること。

 

 

2種類の資格外活動許可

 

⑴包括許可

 「留学」「家族滞在」「特定活動」の在留資格の方が対象になります。

上記の一般原則の③は包括許可に関しては関係してきません。

就労先は一箇所に特定されず掛け持ちも可能です。

その際も複数箇所合わせて1週28時間以内の労働が認められます。

仮にアルバイト先が変わっても再度資格外活動許可を取得する必要もありません。

仕事の内容については、コンビニのアルバイトや外食レストランの仕事などの接客業も可能です。

包括許可は28時間の制限がつく一方、単純労働を含む幅広い職種で働くことが可能になっています。

 

 しかし、幅広い職種でも風営法に規定されている仕事に従事することはできません。

キャストとして接客したり、受付のスタッフとして働くことも含まれますので注意が必要です。

例)風俗営業・・・客の接待をして飲食させるキャバレー・スナックなど、店内の照明が10ルクス以下の喫茶店・バーなど。麻雀屋・パチンコ屋・スロットマシン設置業等。

店舗型、無店舗型性風俗特殊営業・・・ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ劇場など

 

1週について28時間以内の労働の考え方

 

 1週の起算日で注意が必要なのは起算日を自分で設定できないことです。

どの曜日から足しても1週間の合計の労働時間は28時間以内に収めなくてはなりません。

仮に2箇所でアルバイトをする場合にもこのルールは適用されます。

シフトが固定されていないアルバイトは28時間を超えないように調整が必要です。

また、当然ですがタイムカードがないような仕事は包括許可の対象にはなりません。

その場合は個別許可の取得が必要になります。

 

留学生の例外

 

 長期休暇がある留学生には例外の規定があります。長期休暇中は1日に働ける時間が8時間に延長されます。

ただし、労働基準法の関係で1週間で40時間が上限で、それを超えないように注意が必要です。

 

 

⑵個別許可

 

 個別許可では就労先や就労内容が指定されます。

前記の包括許可とは違い飲食店で接客といった単純労働はできません。

許可のためには、資格外活動許可の要件(一般原則)の①〜⑦を全て満たさなければなりません。

つまり単純労働はできず、職業は入管法別表第一の一と二の表に記載されている就労内容のみが対象になります。

 

対象になる例としては

・留学生が就業体験を目的とするインターンシップに従事するとして週28時間を超える資格外活動をする場合  

・大学で「教授」の在留資格で勤務している方が、民間企業で英語講師をする場合

・個人事業主として活動する場合や客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合

 

 留学生のインターンシップについては、卒業に必要な単位をほぼ修得した大学生で修業年度の年度末で卒業予定の方や、修士

課程の2年生、博士課程の3年生の方が対象です。

また、専攻科目と密接な関係がある場合は、最終年度ではない場合でも資格外活動許可を取得できる可能性があります。

 

 

 

雇用者が注意すべき点

 

 雇用する立場の方は、自身が不法就労助長罪の対象にならないように注意が必要です。

入管法には雇用者にも重い罰則があります。

不法就労と知っていたか知らなかったかに関わらず、不法就労者を雇って働かせた場合、

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課されます。

仮に事業主が外国人で不法就労者を雇用した場合、事業主本人が退去強制になります。

外国人の採用の際は、資格外活動許可を受けているかしっかりと在留カードで確認する必要があります。